コーヒーの品種は、アラビカの中をさらに分けた名前です。ティピカ、ブルボン、ゲイシャのように袋に書かれますが、品種だけで味は決まりません。この記事では世界のコーヒー研究機関の品種カタログをもとに、10品種の親子関係と育ちやすさを整理し、100gの値段も比べます。
この記事の価格は2026年11月5日に確認した値段が中心で、毎日変わることがあります。参考にした店と確認日は価格の確認日と参考元にまとめました。
運営者の好みと参考資料
運営者はブラジルやコロンビアを意識して飲み、ナッツのような香りの産地が好きです。品種の説明はWorld Coffee Research(WCR)のカタログを、商品の説明は各店の公式ページを参考にしています。
種と品種は別のもの
最初に言葉の階層を整理します。飲むコーヒーの大きな分け方は、アラビカとカネフォラです。カネフォラの代表がロブスタです。全日本コーヒー協会によると、アラビカは生産量の6割弱で、カネフォラは4割強です。2つの違いはアラビカとロブスタの違いで詳しく比べています。
品種はその下の階層です。UCCは、出荷目的で栽培されるアラビカの品種は20種類以上あると説明しています。キーコーヒーも、突然変異の発見や品種改良を経て細かく分かれたものとして、ティピカやブルボンを挙げています。袋に「ブルボン」とあれば、アラビカの中の1つの系統という意味です。
WCRの品種カタログは、見た目、育ち方の特徴、遺伝の背景を品種ごとにまとめた資料です。味の評価も載っていますが、高い標高での可能性を段階で示したものです。「この品種はこの味」と決める辞書ではありません。この点は記事の最後まで大切になります。
品種の親子関係を図にする
たくさんの名前があるように見えますが、WCRの遺伝の分類では、多くが「ブルボンとティピカのグループ」に入ります。WCRは、種が少しずつ運ばれる間に遺伝の幅が狭くなったと説明しています。同じグループの品種を、いとこのように近いが同じではないと表現しています。
WCRのカタログと、ゲイシャはWikipediaの要約です(第三者の情報)。
図の見方は簡単です。背が高い品種は古い系統に多く、小さな木は畑の効率を上げるための品種です。カトゥアイは密に植えられ、ブルボンより収量が多いと説明されます。ただし、小さい木が低品質というわけではありません。パカマラは小さな木で、WCRは味の可能性を「並外れて高い」段階に置いています。
10品種を同じ表で比べる
同じ物差しで並べると、品種ごとの弱点が見えてきます。表の数字と段階は、WCRのカタログの評価です。「味の可能性」は高い標高で育てた場合の評価で、どの袋でもこの味になるという意味ではありません。
| 品種 | 背の高さ | 収量 | 味の可能性 | さび病 |
|---|---|---|---|---|
| ティピカ | 高い | 低い | とても良い | 弱い |
| ブルボン | 高い | 中程度 | とても良い | 弱い |
| カトゥーラ | 低い | 中程度 | 良い | 弱い |
| カトゥアイ | 低い | ブルボンより多い | 良い | 弱い |
| パカマラ | 低い | 低い | 並外れて高い | 弱い |
| SL28 | 高い | 低い | 並外れて高い | 弱い |
| SL34 | ― | ― | 並外れて高い | ― |
| ムンド ノーボ | ― | ― | 良い | ― |
| マラゴジッペ | ― | ― | 中米で良い〜とても良い | ― |
| ゲイシャ | ― | 低い(第三者の情報) | ― | 強いとの説明(第三者の情報) |
WCRのカタログで11月5日に確認しました。ゲイシャの行はWikipediaの要約で、第三者の情報です。「―」は今回の資料から読めなかった項目です。
味の評価が高い品種は、収量か病気に弱点を持ちます。パカマラとSL28は評価が高い一方で、収量が低く、さび病にも弱い品種です。ここが値段を読む手がかりになります。手のかかる品種は作る側の負担が大きく、値段も高くなる傾向があります。
標高の条件を比べる
WCRは品種ごとに、適した標高を緯度別に示しています。赤道に近いほど暑いので、高い場所が必要です。同じティピカでも、赤道近くは1,600m以上、緯度15度より外は1,000m以上です。品種と場所は切り離せないという例です。
WCRのカタログの数字です。赤道に近い地域は北緯5度〜南緯5度を指します。
SL28は同じ赤道近くでも1,200m以上で、ティピカより400m低い数字です。乾燥に強いという説明もあります。商品ページに標高と品種が両方書かれていると、この数字と照らせます。ブルーボトルのコロンビアは標高1,750mと書かれています。条件を読む練習に向いた1袋です。
ティピカとブルボンの2本柱
ティピカ
WCRはティピカを、文化と遺伝の両面で最も重要なアラビカの1つと書いています。イエメンからインドへ渡り、1696〜1699年ごろジャワへ、さらにヨーロッパとカリブ海を経て中南米へ広がりました。1940年代まで、中南米の農園の多くはティピカでした。
その後、収量の低さと病気の弱さから、多くの土地で別の品種に置き換わりました。今もペルーやドミニカ共和国に残ります。ジャマイカのブルーマウンテンもティピカの別名としてカタログに載っています。ブルーマウンテンの決まりはジャマイカの記事にまとめました。
ブルボン
WCRによると、ブルボンは1700年代の初めにフランスの宣教師がイエメンからブルボン島へ運びました。1860年ごろブラジルに渡り、中南米に広がります。UCCは豆が小粒で赤い実が基本とし、黄色い実のイエローブルボンもあると説明しています。
UCCはティピカが島で変異して生まれたと説明していて、WCRの書き方とは少し違います。どちらもイエメンの古い系統から枝分かれした点は同じです。今の中南米では、カトゥーラやカトゥアイ、ムンド ノーボに多くが置き換わりました。エルサルバドルやグアテマラ、ホンジュラス、ペルーに残っています。
小さな木のカトゥーラとカトゥアイ
カトゥーラはブルボンの自然の突然変異です。WCRによると、1915年から1918年の間にブラジルのミナスジェライス州で見つかりました。1つの遺伝子の変化で木が小さくなります。
カトゥアイはムンド ノーボとカトゥーラの交配で、1972年にブラジルで広まりました。WCRは1ヘクタールに5,000〜6,000本という植え方を示します。味の評価は「良いが特別ではない」という表現です。ブルーボトルのブラジルの豆はこのカトゥアイです。同じ商品の公式の説明は、バニラやストロベリーです。評価の言葉だけでは、1袋の味は語れません。
個性派のパカマラ、SL28、ゲイシャ
パカマラはパカスとマラゴジッペの交配で、エルサルバドルの研究機関が育てました。豆がとても大きいのが特徴で、味の可能性は高く評価されています。一方でカタログは、世代を重ねると性質が安定しないと注意しています。
SL28はケニアのスコット研究所が1935年に選びました。長い間手入れをしなくても実をつける強さがあり、ケニアには樹齢60〜80年の木もあります。ケニアの等級の話はケニアの記事にあります。袋に品種まで書かれたケニアの豆を見つけたら、SL28の有無を見てください。
ゲイシャは第三者の情報では1930年代にエチオピアで見つかり、タンザニアとコスタリカを経て1960年代にパナマへ入りました。さび病に強い一方で収量が低く、一度は広がりませんでした。品評会で注目され、2019年には生豆1ポンド1,029ドルの落札例があります。
この落札額を1kgに直すと約2,269ドルです。もちろん一般の店の豆はこの値段ではありません。品種の名前が値段を押し上げた、極端な例として見てください。名前の綴りはGeshaとGeishaがあり、地名の音に由来します。日本の芸者とは関係がないという説明もあります。
品種名で100gの値段を比べる
同じアラビカでも、品種名が入ると値段はどれほど違うのか。各店の100gの値段に直して並べました。品種以外に、店、産地、精製、農園の条件も違います。品種だけの値段差ではない点に注意してください。
確認した価格を100gに直しました。ゲイシャの2商品は楽天市場の一覧の表示で、第三者の情報です。11月5日に確認しました。
カルディのツッカーノブルボンは100g約718円です。ブルーボトルのコロンビアは約1.9倍、ゲイシャは約5.7倍です。1杯10gなら、ブルボンの約72円に対して、ゲイシャは約410円です。楽天市場の一覧では、100gのゲイシャは4,000円台前半から5,000円台が中心でした。
毎日飲む品種と、たまに試す品種は分けて考えるのが現実的です。ゲイシャを100g買うなら、ブルボンの200gより2倍以上高い出費です。香りを楽しむ特別な1杯と割り切ると、値段の見え方が変わります。お湯の量や淹れ方を変えず、普段の豆と比べると違いがつかみやすくなります。
品種の表示をどう読むか
まず、品種が書いていない豆が悪いわけではありません。公正競争規約には、特定の品種だけを使っていると表示するなら他の豆を使ってはいけない、という決まりがあります。逆に、品種の表示そのものを全ての商品に求めてはいません。読み方は袋の表示の読み方にまとめました。
次に、複数の品種が書かれている場合です。ブルーボトルのコロンビアはティピカとティモールハイブリッドです。ティモールハイブリッドの名前からは、ティピカだけの豆でないと分かります。品種の組み合わせまで書く店は、情報の出し方が細かい店だと言えます。
そして、味の説明を品種だけに結びつけないことです。キーコーヒーが説明するように、品種改良は今も続いています。同じカトゥアイでも、精製が変われば別の味になります。精製については精製方法の解説に、産地については産地の総合ガイドにあります。
品種改良が今も続く理由
新しい品種が生まれ続ける一番の理由は、病気と気候です。キーコーヒーの説明では、アラビカは高温多湿、霜、乾燥、病害虫に弱く、さび病が何度も生産国を脅かしてきました。カネフォラの強さをアラビカの味と組み合わせる研究が、今も世界で進んでいます。
品種名の入った豆は、好みで選ぶものであると同時に、作り手の選択の記録でもあります。同じ農園でも、収量の良い品種に替えるのか、手のかかる品種を残すのかという判断があります。WCRの表の「収量」と「さび病」の列を見ると、その判断の重さが想像できます。
カプセル派が品種を楽しむ方法
カプセルの箱に品種まで書かれていることは多くありません。カプセルが中心の人が品種を試すなら、1袋だけ粉を買うのが手軽です。挽いた粉を買えば、ペーパーのドリッパーで淹れられます。器具の始め方はハンドドリップの始め方にあります。
運営者はカプセルが中心で、ハンドドリップは時々です。好みは深煎りでコクが強い味です。同じような好みの人は、ゲイシャの華やかさより、まず中煎りのブルボンのように甘さの説明がある豆から入ると、普段の味との距離が小さくなります。
品種を試す商品
カルディ ツッカーノブルボン
カルディは、完熟のブルボン種を日陰干しした豆と説明しています。チョコレートのような甘みと、飲みごたえのあるボディとも書かれています。品種名が入った商品の中で買いやすい値段です。200gで約20杯分あるので、普段の豆と交互に飲めます。
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ブルーボトル コロンビア ウィラ ペドロ ネル トルヒーリョ
品種と標高が両方分かる1袋です。ウォッシュドの精製で、ブラウンシュガー、プラム、グレープフルーツの説明があります。品種の情報を読みながら飲みたい人に向いています。
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ブルーボトル ブラジル FAF セラ ド シガーノ
カタログの評価が控えめな品種でも、精製でここまで説明が変わる例です。同じ店のコロンビアと並べて飲むと、品種と精製のどちらの差が大きいかを考える題材になります。
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キー ブルーマウンテン No.1 豆
WCRがティピカの別名として挙げるブルーマウンテンの豆です。値段は高いですが、古い系統を代表する名前を公式の店で買えます。日本の規約で地区の名前として決まっている点も、他の品種名と違います。
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パナマ ゲイシャ エスメラルダ農園
楽天市場の一覧では、ノール珈琲の100g 4,100円、珈琲工房リバティの4,380円が確認できました。同じ農園でも焙煎と精製は店で違います。特別な日の1袋として、普段の豆と別に予算を取ってください。
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公開された口コミ
品種名が入る豆の口コミは、香りと値段に集まります。今回の商品のレビューは件数が少ないものがあるので、第三者の説明も合わせて要約しました。評価の数より、どの言葉で語られているかを見てください。
口コミの好評点
- 花のような香りが良い(ブルーボトル)
- 飲み比べができて楽しい(ブルーボトル)
- 華やかな香りとフルーティーな酸味(ゲイシャの店の説明)
- 香りとバランスが良いという説明が多い(ブルーマウンテン)
口コミの不満点
- 近年の値上がりが気になる(ブルーボトル)
- 焙煎の度合いの表示がほしい(ブルーボトル)
- フルーティーな味に慣れが必要(ブルーボトル)
- 値段が高い(ブルーマウンテン)
楽天市場のブルーボトルのレビュー、各店の説明、第三者の記事の要約です。
品種で選ぶのが向く人
品種で豆を選ぶのは、同じ産地の違いを細かく知りたい人に向きます。味の好みがまだ定まっていない人は、先に焙煎度で好みを決めるほうが近道です。焙煎の違いのほうが、飲んですぐ分かるからです。品種はその次に楽しむ情報です。
合う人
- 産地だけでは物足りない
- 店の説明を読むのが好き
- ゲイシャの香りを一度試したい
- 農園まで分かる豆を買いたい
合わない人
- 毎日の豆代を抑えたい
- 深煎りの苦味だけを求める
- いつも同じ味がいい
- 説明より量を重視する
価格の確認日と参考元
この記事の値段は、下の表の店やページで確認した時点のものです。確認した年はすべて2026年です。価格は毎日変わることがあり、セール、在庫、色、店によっても違います。送料、ポイント、クーポンは、本文で触れた場合を除いて計算に入れていません。
| 商品 | 確認した価格 | 参考にした店やページ | 確認日 |
|---|---|---|---|
| カルディ ツッカーノブルボン | 200g 1,436円 | カルディ公式 | 11月5日 |
| ブルーボトル コロンビア ウィラ ペドロ ネル トルヒーリョ | 200g 2,800円、100g 1,484円 | ブルーボトルコーヒー公式 | 11月5日 |
| ブルーボトル ブラジル FAF セラ ド シガーノ | 200g 2,950円、100g 1,563円 | ブルーボトルコーヒー公式 | 11月5日 |
| キー ブルーマウンテン No.1 豆 | 200g 9,018円 | キーコーヒー公式ショップ | 11月5日 |
| パナマ ゲイシャ エスメラルダ農園 プライベートコレクション | 100g 4,100円 | 楽天市場の一覧 ノール珈琲(第三者の情報) | 11月5日 |
| パナマ ゲイシャ エスメラルダ農園 ウォッシュド | 100g 4,380円 | 楽天市場の一覧 珈琲工房リバティ(第三者の情報) | 11月5日 |
価格は確認時点の表示価格です。第三者の記事の価格は、その記事の時点の値段です。購入前に販売ページで最新の価格を確認してください。
よくある質問
品種と産地はどちらが味に影響しますか?
どちらか一方では決まりません。WCRは標高を緯度別に示し、同じカトゥアイでも精製で説明が大きく変わります。品種、場所、精製を組み合わせて読んでください。
ティピカとブルボンの違いは何ですか?
どちらも古い系統です。WCRの評価では、ティピカは収量が低く、ブルボンは中程度です。伝わった道も違い、ブルボンはブルボン島を通りました。
アラビカと品種は同じ意味ですか?
違います。アラビカは大きな種の名前で、ティピカやブルボンはその中の品種です。種の違いはアラビカとロブスタの記事にあります。
ゲイシャが高いのはなぜですか?
第三者の情報では、収量の低さと品評会での評価が背景です。100gで4,000円台が多く見られます。
ゲイシャとゲシャは同じですか?
第三者の情報では、エチオピアの地名の音から来た表記の違いです。店によって書き方が分かれます。
カプセルで品種は選べますか?
カプセルの箱に品種まで書かれていることは多くありません。品種を試すなら、豆か粉を1袋買うほうが確実です。
イエローブルボンとは何ですか?
UCCの説明では、ブルボンのうち実が黄色い品種です。赤い実のブルボンが基本で、黄色い品種もあります。
品種が書いていない豆は避けるべきですか?
避ける必要はありません。品種の表示は全ての商品に求められていません。毎日の豆なら、焙煎度と値段で選んでかまいません。
参考にした情報
- World Coffee Research 品種カタログの解説
- WCR Typica
- WCR Bourbon
- WCR Caturra
- WCR Catuai
- WCR Pacamara
- WCR SL28
- WCR ブルボンの検索結果(各品種の評価)
- UCC コーヒーの植物学
- UCC ブルボン種とは
- キーコーヒー コーヒーの品種とその特徴
- 全日本コーヒー協会 栽培の基礎知識
- 公正競争規約 レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒー
- カルディ公式 ツッカーノブルボン
- ブルーボトルコーヒー公式 コロンビア ウィラ
- ブルーボトルコーヒー公式 ブラジル FAF
- キーコーヒー公式ショップ ストレート
- 楽天市場 パナマ ゲイシャの一覧(第三者の情報)
- 珈琲工房ひぐち グァテマラ アンティグア ゲイシャ(楽天市場)
- Wikipedia Geisha (coffee)(第三者の情報)
- コーヒー豆研究所 ゲイシャの記事(第三者の情報)
- 楽天市場 ブルーボトルのブレンドセレクションのレビュー(第三者の情報)